ジャンル: ROCKリリース情報

PCD-4219 All Delighted People EP
2010.11.29

リリース早々、ピッチフォークでも絶賛されている新作フル・アルバム『ジ・エイジ・オブ・アッズ』に先立って配信オンリーでリリースされていたスフィアン・スティーヴンスの傑作EP が待望のCD リリース!

EP とはとても思えない、約60 分という並のアルバム以上のヴォリューム! 『ジ・エイジ・オブ・アッズ』とも一切重複する曲がなく、サウンドも対照的で、より生演奏を押し出した(その意味ではより従来のスフィアンに近い)ものでありながら、全く遜色のない素晴らしすぎる作品!

17 分を超えるラストの「Djohariah」などは、これまでのスフィアンの曲に見られなかったような壮大な展開を見せ、凄まじいギタープレイも相俟ってまさに圧巻! 必聴です!!

表題曲「All Delighted People」の「クラシック・ロック・ヴァージョン」と称する別バージョンを涼しい顔で入れてくるあたりも、スフィアンならではと言えそうだが、それを単なるギミックに終わらせないだけの統一感を持った作品に昇華されています。

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PCD-25123 Hello Again – A Collection of Rare Tracks
2010.11.29

英国の伝説的女性フォーク・シンガー、ブリジット・セント・ジョン、4年ぶり、3度目の来日公演を祝し、日本独自編集によるレア・トラック集が登場!

故ジョン・ピールに見出され、1969 年から72 年にかけて、ピールのレーベル、ダンデライオンから発表した3作がサンディ・デニーやニック・ドレイクのベスト作品や、リンダ・パーハクスの『パラレログラムズ』、ヴァシュティ・バニヤンの『ジャスト・アナザー・ダイアモンド・デイ』と並び称される伝説の女性シンガー・ソングライター、ブリジット・セント・ジョン。故ジョン・マーティンにギターの手ほどきを受けて頭角を現し、生前のニック・ドレイクや、ケヴィン・エアーズとの親交でも知られる彼女。その3度目の来日公演に合わせ、これまで正規にCD 化されていなかった楽曲を中心とした、本人の監修による日本独自編集のコンピレーションが登場!

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LITTLE RED
2010.11.26

自主リリースしたデビュー作からまだ二年しか経ってないにも関わらず、南半球最大フェうのビッグ・デイ・アウトを含め、数多くのフェス出演と単独ツアーも何度も成功させ、今や地元オーストラリアでは2000人規模のハコを即完売させるまでに成長。UKや北米からも熱いラヴ・コールがあり、二度の海外遠征も既に敢行。来年初頭からUKでの大ブレイクも期待されている、超大型新人である!

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PCD-20070 Deerhoof vs. Evil
2010.11.22

とどまるところを知らないポップ・マジック! ディアフーフ通算10 作目のフル・アルバム!

古巣のキル・ロック・スターズから、オブ・モントリオールを擁するポリヴァイナルに移籍しての第一弾アルバム。トム・ヨークも絶賛した前々作『フレンド・オポチュニティ』の楽曲にも通じる、汲めども尽きせぬ豊富な音楽的アイデアをちりばめた完璧なまでの構築性と、思わず口ずさみたくなるような親しみやすいメロディ・センスの両立を更に突き詰めた、素晴らしくポップでラディカルなサウンド!

ギリシャの作曲家、ミキス・テオドラキスが手がけたマイケル・カコヤニス監督作『魚が出てきた日』(1972)サウンドトラックの1 曲「Let’s Dance The Jet」のカヴァーはすでに2010 年2 月の来日公演でも披露していたが、この曲以外は全てディアフーフによるオリジナル楽曲で、録音もスタジオを使用せず、バンドの練習スペースやベースメントで行われた。

結成から16 年もの間、休むことなく作品を発表し続けながら、その度に新鮮な驚きと感動を与えてくれるディアフーフ、その存在自体がまさに奇跡的と言うほかない!

*早くもツイッター上でウェイン・コイン(フレーミング・リップス)が本作にインスパイアされた落書き(キョーレツ!)を公開するなど、発売前から話題沸騰!

*11 月21 日にクラムド・ディスク/プランクトンからリリースされる2 枚組コンピ『コンゴトロニクス世界選手権(Tradi-Mods vs. Rockers)』(アニマル・コレクティヴ、フアナ・モリーナ、アンドリュー・バード、シャックルトン、オプティモ、EYE 他、超豪華メンツが参加したコンゴトロニクス・シリーズ最新章)で、ディアフーフがディスク1 の1 曲目に登場!

*11 月17 日リリースのKIMONOS(向井秀徳+LEO 今井)の1st アルバムにグレッグがドラムでゲスト参加。

*2011 年1 月末にリリースされるザ・ゴー!チームのニュー・アルバムにサトミがヴォーカルでゲスト参加。PV にも出演。

*サトミは、にせんねんもんだいのドラマー、姫野さやかとKIRIHITO/GROUP のギター、竹久圏との新プロジェクトも始動!

*『ハイ・アート』等で知られるリサ・チョロデンコ監督の最新作『The Kids Are All Right』のサウンドトラックにディアフーフの楽曲が2曲収録(「Milk Man」と「Blue Cash」)。

*2011 年7 月1 日、ATP のライヴ・シリーズ「Don’t Look Back」の規模を拡大して、フレーミング・リップスがロンドンのアレキサンドラ・パレス(キャパ7000 人)で行う名盤『ザ・ソフト・ブレティン』の全曲演奏ライヴのスペシャルゲストとして、ディアフーフが『ミルク・マン』の全曲演奏を行うことが決定(『バグ』の全曲演奏を行うダイナソーJR も交えた3 組という超豪華メンツ!)。

16 才の時にどう感じていたか思い出すのは簡単だ。

そう、みんなと同じように2 つの瞳を持っていたけれど、自分の目には絶対狂いがないし、敵うものもいない。誰も自分にこうしろああしろと命令することなどできない。無視するわけにはいかない一大勢力。自分ならあらゆるものに挑みかかって勝つことができる、という否定し難い感情に溢れていたはずだ。

1994 年に結成されたディアフーフは、今まさにその宿命的な年齢に達したところで、習わしからすれば、バンドが外に出て世界に挑戦する番だ。反抗的な青年が強くて聞き分けのない人間に変貌するのと同じように、グレッグ・ソーニア、エド・ロドリゲス、ジョン・ディートリックとサトミ・マツザキは、バンドにとって唯一の故郷と呼べる場所だったサンフランシスコを急に離れると、「ディアフーフのレコードはこういう音」というような全ての既成概念を置き去りにしていった。

その結果生まれたのが『ディアフーフ vs. イーヴィル』である。制御不能になって猛威をふるうホルモンが音楽になったようなこのアルバムは、スピーカーから飛び出し、不器用な勝利と燃え上がる感傷に沸き立っている。ここに入っているのは、聴けば踊り出し、一緒に歌わずにはいられなくなる曲ばかりだ(どれだけリズムが伸縮自在でメロディーが唐突だったとしても)。冒頭の「Qui Dorm, Nom?s Somia」(カタロニア語で歌われる)からして、聴いていると彼らが失敗をも恐れない大胆なバンドであることが分かるだろう。
彼らの音楽的な「成長」を記録するにあたって、バンドのメンバーは自分たちを信頼するしかなかった。あまり知られていないギリシャ映画のサウンドトラックだったインストゥルメンタル曲のカヴァー(「Let’s Dance the Jet」)、ニューヨークのアーティスト、アダム・ペンドルトンのドキュメンタリー映画/インスタレーション『BAND』のために作られた曲(「I Did Crimes for You」)を除く全ての収録曲は、録音エンジニアや外からの手助けもなしに、完全にバンド自らの録音、ミックス、マスタリングによって作られたものだった。

皮肉にも、出来上がったアルバムは磨き抜かれ、喜びに溢れ、スケールの大きいサウンドに仕上がっている。DIY なやり方を貫くことは、自らを最初から作り直す自由を意味していた。お互いの楽器を持ち替えて演奏し、それらの楽器を原型をとどめないほど徹底的に変えてしまう(あれはジョアンナ・ニューサムのサンプルでもコノノNo.1 のサンプルでもなく、ジョンとエドのギターなのだ)、そして大概、自分たちの音の色彩を跳ねかけて最も予期せぬ配合を生み出していくのである。

一度聴きさえすれば、このアルバムが(彼らの)「スイート・シックスティーン」になることが分かるだろう。

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PCD-4608 Nights Wave
2010.11.12

アダム・ピアース=マイス・パレード、ニュー・アルバム、『ベンヴィンダ・ヴォンターヂ』(通算第5作)からの先行EP!
ムームのクリスティーン・ヴァルティースドッティルをフィーチャーした夢見心地のポップ・チューン!

マイス・パレードから届けられた5曲入りEPは、ありとあらゆる音楽性を包含した作品だ。アコースティック・ギターとヴィブラフォンが切なく絡み合うリリカルかつ軽快なサウンドと、クリスティーンのあのラヴリーな歌声が聴く者を夢の世界へと誘う、マイス・パレード史上最高の“ポップ”チューンと言っていいタイトル・トラック、そして、一体どういうつながりなのか全くナゾながら、かつてヴェルサーチのモデルをやっていたというシビル・バックがゲスト・ヴォーカリストとして参加した、アフリカン・リズムとフラメンコ・ギター、そしてシューゲイザー・サウンドが見事に融合した「Satchelaise」……。「Neither Stream」は、不思議に混濁したポップ・ソングで、1995年のものである。アダムが自分の機材(ADATとSM58マイク2本のみ、コンプレッションやEQはなかった)でレコーディングした初めての曲ということから、本作に収録された。機材の使い方を覚えたアダムが、その後そのスタジオで何枚ものアルバムを作り出すとは、当時誰も想像もしなかったというのに……。

EPの棹尾を飾るのは、ノルウェーの注目レーベル、スモールタウン・スーパーサウンドの看板アーティストであり、デザイナーとしても高い評価を受けるキム・ヨーソイによる、ゆっくりと始まり、最後にはハチャメチャなダンス・チューンに変わる、最高の「Milton Road」リミックスだ。オリジナルは、03年の『オブリガード・サウダーヂ』に収録されている。

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PCD-23504 The Milk-Eyed Mender
2010.11.12

ドラッグ・シティからとてつもない才能が登場した! ハープ弾き語り女性シンガー・ソングライター、ジョアンナ・ニューサム、鮮烈にデビュー!

●シカゴきっての頑固一徹異色個性派レーベル、ドラッグ・シティが久々に新たな才能を発掘した。ハープ弾き語りという、そのスタイルだけを取ってもきわめてユニークな女性シンガー・ソングライター、ジョアンナ・ニューサム、ここにデビュー!

●現在サンフランシスコ在住のジョアンナ・ニューサム(詳しいバイオグラフィは、下記のドラッグ・シティのプレス・リリースを参照のこと)は、これまでに二枚のCDを自主制作でリリースしており、そのうちの一枚をたまたま手にし、大きな衝撃を受けた(文字通り、ぶっ飛んだそう)ボニー“プリンス”ビリー(ウィル・オールダム)は、彼女をツアー・サポートに抜擢。その他、キャット・パワーや友人でもあるデヴェンドラ・バンハートのサポートを務めたり、ディアフーフのドラマー、グレッグ・ソーニアとヘラのドラマー、ザック・ヒルのドラム・デュオ・ユニット、ナーヴァス・コップのアルバムに参加したりしている。

●ジョアンナ・ニューサムは、テキサス・グラッデンの作品や、映画「最後のユニコーン」へのサウンドトラック(作曲はアメリカ)、ルース・クロフォード・シーガーおよびロマックス兄弟が採集したアパラチア山脈の子供の歌をとりわけ敬愛しているという。その他、ドノヴァンやカレン・ダルトン、パティ・スミス、ビリー・ホリデイなどなど、おなじみのアーティストも。ちなみに、彼女の好きなクジラはイッカク(角があり、鳴き声を上げる勇猛なクジラ)で、彼女は彼(彼女?)についての曲も作っている。

●というジョアンナ・ニューサムのデビュー・アルバム、『ミルク・アイド・メンダー』(ミルク目の修繕人?)はまさしくぶっ飛びものだ。心の奥底にまで響き渡ってくる繊細でリリカルなハープの音色、ほのかにサイケデリック感覚を漂わせた、どこかイノセントで無垢な味わいを持ったビョーク的と言えなくもないヴォーカル……。どこを取ってもとびきりにユニークでパーソナルな、他に類を見ないじつにじつに個性的な音楽でありながらも、とっつきにくさや難解さはまったく感じられない。素直に向き合って耳を傾けてくれさえすれば、誰もが心を揺さぶられるに違いない。本当にとてつもない才能である。鮮やかな、衝撃の、ジョアンナ・ニューサム弱冠21歳の、奇跡のデビュー・アルバムである。どうか心して、しかし肩の力を抜いて楽しんでほしい。信じてほしい。これは魔法である。

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PCDT-8 Tourist History
2010.11.11

 

ブリティッシュ・アンセムズのギグも大盛況のうちに終了、英BBC SOUND OF 2010にもノミネートされ、全世界的に注目を集めるUKの新人ギター・バンド、トゥー・ドア・シネマ・クラブ待望のデビュー・アルバム!
●KITSUNE新レーベル「KITSUNE JAPON」第一弾リリース!
●新人の登竜門である英BBC SOUND OF 2010ノミネート!
●シンク゛ル「I Can Talk」PVをカニエ・ウェストがBLOGで紹介!
●ブリティッシュ・アンセムズで来日、ギグも大好評!

「突発的で衝動的、更に大暴走とくれば、ギターと男子という組み合わせに求めるものすべてを彼らは兼ね備えている。こんな奴らが出現したとなれば、ブロック・パーティーもおちおち休んでなんかいられないね。」

―『NME』

■北アイルランドのバンガー/ドナガディーを拠点に活動する、アレックス・トリンブル、ケヴ・ベアード、サム・ハリデーの3人からなるインディー・ギター・バンド、トゥー・ドア・シネマ・クラブ。
■3ピースの身軽な編成から生み出される疾走感あふれるポップなサウンドと、一聴してメロディを口ずさめるフレッシュなフックをもったキラー・シングル「I Can Talk」がUK各メディアで話題沸騰、デス・キャブ・フォー・キューティーやブロークン・ソーシャル・シーンなどとも比較されるなど、リリース前からすでに期待値マックスの大型新人!
■その「I Can Talk」(プロモ・クリップも最高にクール!)や、『Kitsune Maison Compilation 7』のトップにも抜擢された人気曲「Something Good Can Work」を含むデビュー・アルバム『ツーリスト・ヒストリー』は、収録楽曲すべてがシングル対応可、という密度の高いポップ・ソングを満載!
■こんなステキなアルバムを作った彼ら、まだ全員20歳って!

★INTERVIEW WITH TWO DOOR CINEMA CLUB★

──3人が生まれ育った北アイルランドは、古くはヴァン・モリソン、ここ最近ではアッシュだったり、スノウ・パトロールなんかを輩出していますが、現地のシーン状況は日本にあまり入ってきません。まず、3人はどういった環境で音楽を始めたんでしょうか。

アレックス
「北アイルランドのベルファストには格好いいバンドが沢山いるんだけど、そういう情報は日本までなかなか届かないだろうね。そんななか、世界中のリスナーに気づいてもらえた僕たちはラッキーだと思っているんだけど、僕たち3人は幼なじみで、15歳くらいの頃から一緒につるんでいるんだ。僕らみんな、ギターを弾いてたから自然とバンドをやることになって、サムの家のガレージに集まっては遊びに一環として曲を書くようになったんだ。最初はヒドい曲ばかり作ってたんだけど(笑)、僕ら3人にドラマーを加えた4人で始まったのが途中でドラマーが抜けて、この3人で組んだ新しいバンドがこのTwo
Door Cinema Clubなんだ」

──どんな音楽を聴いて育ったんですか?

ケヴィン 「15歳くらいの頃はアット・ザ・ドライヴインとかアイドル・ワイルドとか、ロックだったり、パンクだったりっていう激しい音楽が好きだったんだけど、そこからインディーもの、モデスト・マウスだったり、デス・キャブ・フォー・キューティーやポスタル・サーヴィスなんかを聴くようになったんだけど、そのうちに3人ともだんだん趣味が分かれていって、色んな音楽を聴くようなってるよ。だから、今は3人とも聴いてる音楽はバラバラなんだけど、過去に聴いた音楽は全て僕らの音楽の血となり肉となってるのは間違いないね」

──Two Door Cinema Clubの音楽はドラムレスの編成を打ち込みで補うことによって、エレクトロ・ポップとしても聴けるものになっていますが、ダンス・ミュージックからの影響はいかがです?

サム 「もちろんあるよ。それがこのバンドのどれくらいを占めているかは分からないけど、ジャスティスだったり、ホット・チップなんかは気に入って聴いてきたし、このバンドを始めた時、踊れる音楽を作りたいっていう意識も多少あったからね。ギターやメロディ寄りのアプローチではクラブ・ミュージック寄りの音楽を作るのは難しいと思うんだけど、僕らはドラマー不在を打ち込みで補うことによって、クラブ・ミュージック寄りのビートを作れる自由度は高いと思う」

アレックス 「ただ、僕たちは一言でくくれない音楽を作りたいんだ。つまり、完全にダンス・ミュージックとも言い切れないもの、それでいて単なるポップ・ミュージックでもなければ、ロックでも、インディーでもない音楽だよね。僕らは色んな音楽を聴いてきたし、より多くの人に気に入ってもらえるように間口を広げたいと思っているんだ。」

──曲作りに関しては?

ケヴィン 「曲によって作り方は異なるんだ。気に入ったリズム・パターンをベースに曲を作ることもあるし、メロディから作ったり、印象的なサビを思いついたら、そこに他の要素を肉付けしていくこともある。そうやって曲作りのフォーマットを固定しなければ、自分たちにとっても何が起こるか分からないという意味で曲作りの鮮度をキープ出来るし、色んな変化に対して反応出来る自由度こそがこのバンドにとっては重要なんだ。やっぱり、曲が生まれるのは3人が集まって、楽しんでいる時だからね。そういう瞬間を自然な形で曲に盛り込むには決めごとを作らないのが一番いいのさ」

サム 「ライヴに関しては、かつてはドラムレスの3人編成でやったたんだけど、ここ最近はサポート・ドラマーを入れた4人編成でやっていて、手応えという点でも見せ方という点でもレベル・アップしているから、ライヴでは今後も4人編成でやることになると思うよ」

──そして、今回の作品がリリースされる所属レーベルのKITSUNEですが、3人にとってはどんなレーベルですか?

アレックス 「レコード会社って、どういうものを期待したらいいのか、口出しされたり、厄介なことにもなる可能性がある存在だと思うんだけど、一緒に仕事をしてみて、彼らはいい音楽を世に出したいという情熱があるし、そういう思いを持った若いバンドを育成したいというバックアップの姿勢が明確にあって、レコード契約っていうビジネスを越えたところで家族や友達とやりたいことをやっているような、そんな感覚が強いかもしれないね。それに人から“どのレーベルに所属してるの?”って訊かれた時に“KITSUNEだよ”って答えると、反応がすこぶるいいんだ(笑)。ただ、彼らはそういう反応を謙虚に受け止めて、やりたいことをただやり続けるっていう姿勢にも共感を覚えるよ」

──そんな環境下で、このデビュー・アルバムは、カイザー・チーフスやブロック・パーティを手がけるプロデューサーのエリオット・ジェームス、そしてエンジニアにフェニックスを手がけるカシアスのフィリップ・ズダールという布陣でレコーディングに臨んだわけですが、その作業はいかがでしたか?

サム 「それまで外部のプロデューサーと仕事をしたことがなかったから最初はすごく緊張してたし、僕らの音楽が嫌いだったらどうしようっていう不安もあったんだけど(笑)、仕事が始まったら意気投合出来たし、エリオットには彼なりのアイディアを加えてもらったり、これ以上望めないくらいのレコーディングだったよ。フィリップに関しては、彼が過去に手がけた過去の仕事はもれなく聴いてきたから、例えば、パンチのある低音部分だったり、出して欲しい音は分かっていたし、僕らの要望に対して、それ以上の仕事で答えてくれたね」

──Two Door Cinema Clubはそれこそフィリップが手がけたフェニックスと共通するポップ・センスがあるように思ったんですが、彼らに関してはいかがですか?

ケヴィン 「恥ずかしながら、自分たちの作品レビューでフェニックスとの共通点について書かれるまで、彼らのことは知らなかったんだけど、聴いてみたら、一瞬にして彼らのファンになってしまったよ(笑)。彼らは僕たちと同じように、素晴らしいポップ・ミュージックを作りたいっていう純粋な思いがあると思うし、僕らは彼らのそういう部分に共感を覚えるし、今となっては自分たちが一番好きなバンドの一つと言えるくらい、彼らのことは尊敬しているね」

──そして、このアルバムで興味深いのは、Two Door Cinema Clubは寒かったり、曇り空のイメージがある北アイルランド出身にもかかわらず、ギターにラテンだったり、カリビアンだったりといった熱い国の音楽のニュアンスが盛り込まれていることです。そうした要素はどこからやってきたんですか?

アレックス 「はははは。確かにそうだね。僕らとしては高揚感のある、楽しげなダンス・ミュージックよりの音楽が作りたかったから、そういう要素が自然と出てきちゃったんだろうね。音楽には僕らが生きてきた人生の全てが影響するとは思うんだけど、北アイルランドの寒かったり、曇り空だったりする雰囲気は影響していないね(笑)。むしろ、そういう環境に育ったからこそ、自分たちの気分をあたたかくしてくれるような音楽を作りたくなったのかも」

──アイルランドもイギリスも一時期の好景気から一転して、経済状況が悪化していますけど、そうした世相は何かしらの形で作品に反映されていますか?

ケヴィン「そういった社会的なことをあれこれ言える立場ではないけど、楽しむことに必死なオーディエンスを前にすると、そうした人たちがお金を払って観に来てくれた現実と向き合わざるを得ないよね。そういう意味ではライヴを観に来てくれた人たちが日頃感じているイヤなことをほんの一瞬でも忘れてもらえるような楽しいパフォーマンスを心がけているつもりだよ。僕らに出来るのはそういうことだと思ってるね」

インタビュー:小野田 雄
Traffic

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