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極上ライトメロウmeetsニューエイジ〜バレアリック至宝盤『ストレート・アヘッド』(1986)再発で話題のオーストリアのライトメロウ・ユニット“ゼニート”の本邦初公開となる貴重なインタビューを公開!
2019.04.19 MEDIA INFO

極上ライトメロウmeetsニューエイジ〜バレアリック至宝盤『ストレート・アヘッド』(1986)再発で話題のオーストリアのライトメロウ・ユニット“ゼニート”の本邦初公開となる貴重なインタビューを公開!

AOR、シンセウェイブ、ブギー、バレアリック…様々なスタイルのハイブリットかつ超ハイクオリティの音楽性と世界的な再評価も著しいニューエイジ~アンビエント的世界が融合したサウンドで話題となったオーストリアのライトメロウ・ユニット“ゼニート”による1986年作品『ストレート・アヘッド』。今回の世界初CD化にあたって、そのゼニートの中心メンバーであるウィル・ランガー(ベース)、ハンス・トライバー(キーボード)の二人が特別にインタビューに応じてくれた。当時の活動やシーンについて、どんな音楽を吸収し、そしてどんなアイデアの元この傑作が制作されたのか。これまで謎に包まれていたそれらを解き明かす貴重な証言をここにお届けする。

ZENIT『Straight Ahead』ティーザー

ウィル・ランガー&ハンス・トライバー(From Zenit) スペシャルインタビュー

web_zenit

Q:ゼニートの結成とその後の活動について教えて下さい。

A:ゼニートは、我々二人、つまりベース奏者のウィル・ランガーとピアノ/キーボード奏者のハンス・トライバーによって1976年に結成されました。バンドはオーストリアのクレムス・アン・デア・ドナウを拠点としていました。私達若いミュージシャンは、ジャズやロック・ミュージックを聴くのが大好きで、オリジナル曲を演奏して、自分達のサウンドを創作することにしました。最初の数年間は、フルート、エレクトリック・ピアノ、ベース、ドラムのカルテットでした。長年にわたってさまざまなラインナップを経ましたが、我々二人は常にバンドの先頭に立っていて、特にハンスはメイン作曲家としてもバンドを牽引してきました。

2枚のインスト作品を録音した後、私達は何人かのウィーンのミュージシャンと一緒にさらに新しいサウンドを目指し、ギタープレイヤーも追加してボーカル曲の制作を始めました。バンドのマネージャー兼友人であるアレクサンダー・スプリッツェンドーファーが自身のレコード会社を設立し、新しいアルバムを制作することにしました。 アレクサンダーが米国人シンガーのLinda Sharrockをバンドに紹介し、1986年にアルバム『Straight Ahead』をレコーディングしました。 2年後、我々二人はすでに別のバンドやプロジェクトで仕事をしていたため、バンドは次第に消えいってしまいました。しかし、私達は常に連絡を取り合い、2006年にはゼニートとして結成30周年記念アルバム『The Sound Of Now』をレコーディングしました。

 

Q:1980年以降のウィーンのジャズ・シーンについて教えてください。

A:ウィーンには<オスティナート>のような素晴らしいフュージョン/ジャズ・ロック・バンドがおり、素晴らしいブラス・セクションや、ギター奏者ハリー・ストイカが率いる<ハリー・ストイカ・エキスプレス>もいました。一方で、伝説のジャズ・クラブ<Jazzland>の周辺には、より伝統的なジャズを演奏する重要なシーンもありました。70年代からウィーンに住んでいる米国の著名トランペッターArt Farmerも、まだ定期的に演奏していました。80年代の初めには、オーストリアの放送局は彼ら自身のビッグバンド、<ORF BIG BAND>を抱えていましたし、そのうちの何人かのメンバーは自分たちのグループで活動していました。そしてもちろん、著名な<ウィーン・アート・オーケストラ>は、より実験的なコンセプトを持つとても重要な世界的なツアー・プロジェクトでした。

 

Q:Zenitはどのようなアーティストに影響を受けていますか?

A:主な影響源は70年代/80年代初頭の音楽です。例えば、ウェザー・リポート、リターン・トゥ・フォーエヴァー、ハービー・ハンコック、ビリー・コブハム、ジョージ・ベンソン、ジョージ・デューク、アル・ジャロウ、デビッド・サンボーン、アースウィンド&ファイアーなどです。

 

Q:中でも特に好きなアーティストは?

A:特に1人を挙げるとなると非常に難しいですが、我々の同胞ジョー・ザヴィヌルの名を挙げましょう!

 

Q:「Straight Ahead」にはどのような音楽的コンセプトをもって制作されたのでしょうか?

A:これ以前の初期の2枚のアルバムは厳密に楽器演奏のみの作品でした。ラインナップはカルテット(フルート/サックス、電子ピアノ、ベース、ドラム)で、レコーディングはコンサートでの同時演奏に似ていました、プリ・プロダクションなしでの、いわゆる「ジャズ流のレコーディング」です。

この3枚目のアルバムでは、もっと新しいことを考えていました。アルバムの準備段階で、私たちは女性歌手を迎えてボーカル曲を交えることを決めていました。その頃新しく加入したギター奏者トーマス・ツェッヒもサウンドに影響を与えました。インストゥルメンタルの曲はよりファンキーになり、より複雑になりました。また、ボーカル曲のために、ハンスは多くのシンセ・サウンドとシーケンスを含むMIDIプロダクションを手がけ、そこへ後から生の楽器を加えました。作詞には上述のレーベルオーナー兼友人、アレクサンダーに大々的に参加してもらいました。

 

Q:ボーカルを務めるリンダ・シャーロックはどんなボーカリストでしたか?

A:彼女は名のあるジャズ・シンガーで、その頃はよりポップなサウンドにトライしていました。彼女は私たちが探していた完璧なボーカリストでした。

 

Q:アルバムを通してシンセサイザーの多様が特徴的で、特に瞑想的なサウンドの「Watin’」は印象的です。

A:80年代前半から半ばにかけて、MIDI技術が確立され、シンセサイザーの新しい録音方法と使用方法に大きな可能性が開かれました。 ハンスは彼自身のコモドール64とスタインバーグのシーケンサーで色々と実験しました。5台のヤマハ-DX7と1台のローランドpJuno60で、ボーカル曲のトラック用のMIDIファイルを制作しました。

このアルバムは、MIDIと生楽器音を組み合わせたさまざまな方法を提示していると思います。例えば「Colors in my Head」は生演奏主体で、そこに少しシーケンスサウンドが付随する形。「Different World」では逆の関係性になっています。たくさんの電子音が使われ、リズムもプログラムされています。そこへ、ギターとベースとスラップがライブ感を加えている形です。そして「Waitin」ですが、ハンスはこの曲でシンセサイザー・サウンドの大傑作を作りあげることになりました!ボーカル以外のほとんどすべてが打ち込みによって作られています。魅力的なサウンドを備えた素晴らしいイントロから、グルーヴィーなエレクトロニック・サウンドへと繋がっていきます。

 

Q:今、YouTubeを通して世界中で“Straight Ahead”に注目が集まっていることついてどのように感じていますか?

A:私達は長い間そのことへ気づきませんでした。突然、私たちは“Straight Ahead”の再発を望んでいる世界中のさまざまなレーベルから多くのオファーを受けるようになりました。調べてみると、このアルバムに収録されている「Waitin’」がネット上でに大きな注目を集めていることがわかりました。発売から30年以上経った今こうした状況になるというのは私たちにとって予想外の驚きであり、同時に非常に嬉しいことです。

 

Q:本作以降のお二人の活動について教えて下さい。

A:ハンスは90年代からスタジオワークに集中しています。自身のスタジオ<No A Studio>を長年かけて築き、様々なアーティストと100枚以上の作品を制作してきました。ウィルはまだ現役ベース奏者として忙しく過ごしており、ソウル・ジャズ・バンドの <カウント・ベーシック>やドイツのシンガーのラインハルト・フェンドリックを始め、様々なバンドやアーティストと仕事をしています。 1993年からはウィーン国立音楽大学でベースを教えています。

 

Q:日本のリスナーへメッセージをお願いします。

A:このアルバムのレコーディングから30年以上経って日本でリリースすることができて光栄です。様々なスタイルの楽曲を収録したアルバム“Straight Ahead”をぜひお楽しみください。

インタビュー・文:柴崎祐二

 

【商品情報】
タイトル:ストレート・アヘッド / Straight Ahead
アーティスト:ゼニート / ZENIT
発売日:2019年4月17日
価格:¥2,400+税
品番:PCD-24828
解説:柴崎祐二

【収録曲】
1.Colours In My Head
2.Different World
3.A Little Bit Of Funk
4.Play The Game Of Life
5.Magic Words
6.Come On And Try
7.Departure 03
8.Waitin’

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