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関西シーンの伝説、あべのぼる。この世を去る直前の貴重なライブ録音のリリースが決定。 山本精一によるドラムに、ギターのAZUMIを従え、お互いの呼吸も鬼気迫る珠玉の歌々。
2012.03.06 RELEASE

関西シーンの伝説、あべのぼる。この世を去る直前の貴重なライブ録音のリリースが決定。 山本精一によるドラムに、ギターのAZUMIを従え、お互いの呼吸も鬼気迫る珠玉の歌々。

2010年突如この世を去った、元山下洋輔や大西ユカリと新世界の名物マネージャー兼アーティストであったあべのぼる氏。この世を去る直前の、生々しくも、まるで自分の死を知っていたかのような2010年8月14日大阪難波ベアーズでの歌声~叫び。
山本精一による心臓の鼓動のようなドラムに、ギターのAZUMIとの3ピース、お互いの呼吸も鬼気迫る珠玉の歌々。

【商品情報】
artist: あべのぼる、AZUMI、山本精一  
title: 『あべのぼる LAST LIVE~何も考えない』
Release: 2012.4.4  PCD-4500
¥2,000(税込) / ¥1,905(税抜)

[曲目]
1. アスホール・ブルース
2. この世で一番キレイなもの
3. オーイ オイ
4. 夜が短い
5. 天王寺
6. パランパラン
7. アンソアンソどこにいる
8. 何も考えない

※あべのぼるが歌う姿を活写した、強烈な印象を与えるCDジャケットイラストは、この日共に演奏したAZUMIの手によるもの。
※福岡風太、末井昭、AZUMIらによるコメント、山本精一への特別インタビュー、監修者豊田道倫による覚え書きをブックレットに掲載。

盟友福岡風太らともに、70年代からその名を轟かせる伝説のフェスティバル「春一番」の名プロデューサーとしても記憶され、フォークシーンにとどまらず関西音楽界全体にて異彩を放ち続けた、あべのぼる。
山下洋輔を始めとして、その劇的な生き様と人柄に惹かれた多くのミュージシャンから信望を集めた。晩年は、音楽人としての人生を集大成するかのように、自らマイクを取り、強烈な個性と歌世界を知らしめることとなった。その歌声は一部から熱狂的な支持を集めるに至り、多くの個性的なミュージシャンを引き寄せたのだった。

そんな、マイペースだがしかし濃度の高い演奏活動を続けていく中、時は2010年8月14日、AZUMIによるギター、山本精一のドラムスという布陣にて、大阪難波ベアーズにて行われた一夜のライブ。当日の観客は勿論、それまであべのぼるの演奏に親しんできた面々、そしてバックバンドを務めた二人のミュージシャン達にとって、強烈なエネルギーに満ちたこの日の演奏は忘れがたいものとして、語り草となっていくのだった・・・。

そして・・・。運命とは数奇なものである。果たしてこの夜の演奏があべのぼるにとっての生前最後のライブとなってしまった。2010年11月28日、あべのぼるは肺炎により息を引き取ったのだった。
多くの友人、ファンらがその死を惜しんだ。あべさんと音楽、あべさんと大阪の街。みんなが想い返したのだった。

そんな、過ぎ去りし日に想いを馳せる中の2011年、その難波ベアーズでのラストライブの主催者で、生前のあべのぼるを慕っていた一人でもあるフォークシンガーの豊田道倫は、とある音源を再発見することとなるのだった。ライブ当日に自ら何気なく回していた録音、まさかきちんと残っているなどとは思いもしなかったその音源が発掘されることとなったのである。この幻の音源の存在は、豊田と同じくまさか録音などは残っていないであろうと考えていたAZUMIや山本精一をも歓喜せしめることとなった。
豊田はすぐに、この貴重な音源を何とかして世に出せないかと画策した。世に出るべき音源だった。世が知るべき音源であり、歌だった。そんな中、生前のあべのぼるとも浅からぬ縁にあったPヴァインレコードが発売元として決定し、あべのぼるへの追悼と敬意の念を込めて、この音源を世にリリースすることとなった。是非多くの人に耳にしてもらいたい貴重な歌の数々である。

収録曲は、あべのぼるが生前に歌い親しんだレパートリーから、氏の愛唱歌であった早川義夫の「この世で一番キレイなもの」までに及ぶ。振り絞るようなあべのぼるの歌唱と、AZUMIの雄弁なギター、まるで鼓動するような山本のドラムが一体となって、お互いの呼吸も聞こえてきそうな驚嘆すべき演奏となっている。ライブの後半へ向かうへつれて登りつめていく3人の素晴らしい演奏を是非味わってもらいたい。

【発売に寄せてのコメント】

あべちゃん
あべちゃんはいつも笑ってた  それはそれはキュートな笑顔で  でもこの日のあべちゃんは笑ってなかった  SOULはそこらに抜けおち  宙に舞い それは音楽ではなかった  楽屋に戻ったあべちゃんは抜け殻で  もうなぁーにもかーんがえない  あべのぼる Azumi   山本精一  この日はなにをしたんだろう? わからない  わかってほしくない おれはお前がすきなーんだ。

― AZUMI

メチャメチャ かっこええ やんか。
死ぬな!
こんな ゆいごん 残しやがって。
生き返ってくれ!!
夜が短い?泣かすなヨ。
そばに おってくれよ!!!

ロックやな。パンクやな。
天才?奇才?とりあえず、
3大キチガイ トリオやな。
まいりました。ありがとう。
スゴイわ!3人、みんな。
やりたいホーダイ。ホンマに自由なトリオサウンドやな。
エライクソ オモロイ Jazzバンドか?

これぐらい ボロボロ、ゴンガラガンの録音やから
オモロイんやな。誰にもマネでけへん最高の
“作品”ですよ。

― 大阪みなみ阿部組 福岡風太

『あべのぼる LAST LIVE~何も考えない』への覚え書き (豊田道倫)
*このライブは、2010年8月14日(土曜日)に大阪難波BEARSで行われた。
*企画者は自分で、当日は、AZUMI~豊田~山本精一~あべのぼる、AZUMI、山本精一の順番で行われた。
*このメンバーでのライブは二回目で、初回は2009年8月14日(金曜日)に同じく大阪難波BEARSで行われた。
*当日、あべさんは、前年とは違って体調が悪そうで楽屋であまり動かなかったが、金麦をチビチビと飲んで、本番前は黒ラベルを飲んでいた。出番直前に髪を濡らして上げて、サングラスを掛けていた。
*ベアーズであべさんが歌ったのは、前年の時がはじめてで、リハーサルの時から「まさかベアーズでやれるとはなあ」と嬉しそうだった。
*リハーサルの時から、福岡風太さんがいらして、酒の差し入れなど、あべさんのマネージャーのように動いていた。
*楽屋ではあべさんの駄洒落が連発で、山本さんに「おもんなかったら言うてや」と言ってたが、山本さんは「いや、今日、めちゃめちゃ面白いです」と応えていた。
*山本さんはこの日リハーサルには来れなく、音合わせもなく曲も知らなかった。
*この日の録音は自分で勝手に失敗したものと思っていたので、ふいにファイルが見つかった時は、狂喜した。
*後半で急にオーバーピークになっている。録音の設定をいじった覚えはなく、レコーダーの位置が変わったからか。変わったとしても極端にレベルが変わったのは、謎だ。
*レコーダーはROLANDのEDIROL R-09である。
*2009年のセッションでは、山本さんはギター。後、途中で「アニキ」と呼ばれる男が謎のラップで乱入した。
*出来れば、このお盆の時期に同じメンバーで続けたいイベントだった。
*あべさん、AZUMIさんは「牛ふたり」という名前のユニットでも活動していて、北海道ツアー、仙台でもライブを行っていた。
*仙台でのライブが、牛ふたり『オーイオイ LIVE in 白頭山/LIVE「キラーワンストリング」』(ASIA RECORD)に収録されている。
*また、神戸でのライブはCDR作品で、アズミ『牛ふたり あべのぼる AZUMI』として発売されたが、現在廃盤である。
*あべさんのバンド、マジックアニマルズは最高だった。祝春一番のステージで二回見れた。アルバムは、あべのぼる『Magic Animals』(ASIA RECORD)として発表されている。
*このラストライブの時は、あべさんは演奏後すぐ帰宅したと思う。前年は終わって、誰よりも軽い足取りで心斎橋の三ツ寺会館の飲み屋へ向かって行った。「あべさん、今日は泊まりはどちらですか?」「スイスホテルや」。難波駅上にある高級ホテルのことで、いつか、自分も大阪のライブの後スイスホテルに泊まってみたいと思うが、その日はまだずっと先に取っておきたい。