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聴く者全てをはるかなる快楽の宇宙へとぶっ放す!マセラティ待望の新作本日リリース!&スペシャル・インタビューをアップ!
2010.11.17
MEDIA INFO
脈打つ壮絶なグルーヴと、緊張感溢れる緻密な構成にコズミックな音色で聴く者全てをはるかなる快楽の宇宙へとぶっ放す、希有のロック・バンド、マセラティの待望の新作『Pyramid Of The Sun』が本日遂にリリース!!!
そして!
新作のリリースを記念して、スペシャル・インタビューをアップ!
メンバー自らの語る、音楽的ルーツ、創作の過程、そして今は亡きメンバーであり盟友ジェリー・フュークスへの想い・・・。
是非新作とあわせてチェック!
『マセラティ スペシャル・インタビュー』
コーリー(デニス:ギター)
クリス(マクニール:ベース)
マット(チェリー:ギター)
ーーかつて、マセラティが作品をリリースしていたレーベル、キンダー・コアをはじめ、R.E.M.からデンジャー・マウスまで、幅広いアーティストを輩出しているアセンズには独自の音楽シーンがあると思います。3人から見たアセンズの音楽シーンとは?
クリス「アセンズは小さな街だし、音楽シーンはみんな繋がってたりするんだ。昔ほど活発ではないように感じるけど、独特の空気が流れていると思うよ」
コーリー「僕が2000年にここに来てから、アセンズのシーンは盛り上がりと衰退を何度も繰り返していて、上下が激しいよ。一時は知り合いが皆すごくかっこいいバンドにいる時期もあれば、また別の時期は地元のバンドが全部嫌になったりもする。他の街でも同じ事は起きてるんだろうけど、世界的に見るとアセンズは音楽的に注目されている部分は確かにあるよね」
――近年はサイケデリック・ロック/ポップの素晴らしい作品が多数生まれている状況があると思うんですけど、そうしたシーンから受けた影響は大きいと思いますか?
マット「バンドのみんなはいわゆるネオ・サイケってものが好きだよ。ブラック・マウンテン、ブラック・エンジェルズ、ケイヴ、グレイルズとかドゥンエンとかね」
――ポストロックとジャーマン・ロックを含むサイケデリック・ミュージックを融合させたバンドと形容されることが多いマセラティですが、バンドのルーツにあるのはどういった音楽なんでしょう?
クリス「僕らの音楽的なルーツはかなり幅広いと思うよ。(オレゴン出身のパンク・バンド)ザ・ワイパーズからタンジェリン・ドリームまで行くよ」
コーリー「メンバーそれぞれの核にあるのは、良いメロディーとそれに躍動感というか、疾走感みたいなものを付け加えたいという方向性かな。そして音楽を作るうえでも、常に違ったやり方を求めているし、だからこの10年飽きずに、飽きられずに、常に新鮮な形で音楽を発表できているんだと思う」
――2001年のファースト・アルバム『37:29:24』と2002年のセカンド・アルバム『The Language Of Cities』はメランコリックかつメロディックなギター・サウンドが軸となっていますが、2004年のシングル「Towers Were Wires/Asymetrical Threats」のリリースから3年のブランクを経て、ギターフレーズが反復的になったと同時にシンセサイザーがフィーチャーされたことでバンドは大きな変化を遂げましたよね。その間にバンドの置かれていた状況や方向性に関しては?
マット「二つのことが起きたんだ。一つはジェリーがバンドに加わった事。もう一つは2004年からとったしばらくの休暇の間に僕らの音楽的傾向ががらっと変わったというか、皆揃って70年代の、そして特にドイツの音楽に没頭していったんだ」
――さらに2007年の『Inventions for the New Season』からはドラムにジェリー・フュークスが正式加入しました。同郷である彼との最初の出会いについて教えてください。
クリス「僕が最初にジェリーに会ったのは、別のバンドでニューヨークにツアーで行った時かな。その後幾多の飲み会を重ねていったんだ」
コーリー「僕は2000年の頭に彼がまだ学生でアセンズにいた時だったかな。共通の知り合いがたくさんいて、皆彼のバンド、チューリング・マシーンが大好きでね。そしてある日バーで飲んでたら、知り合いが僕のバンドと彼のバンドを引き寄せて、一緒にライブをやるべきだって言ってきたんだ。2000年の12月頃にカレドニア・ラウンジって所で結局一緒にライブをすることになってね。その後オリジナルのドラマーだったフィル・ホーランが2004年に抜けて、その後バンドも休暇を取って、次をどうしようかと悩んでる時に彼が加わることがすごく自然に感じたんだ。最初は彼も躊躇してたんだけど、多分何発かのショットを飲ませて説得したんだと思う(笑)」
――また、ジェリーの加入はバンドにどのような変化がありましたか。
マット「根性、男気、勢い、シンプリシティーと多大なるインスピレーションをバンドにもたらしてくれたね」
――2009年の事故で本当に惜しくも亡くなってしまったジェリーのプレイスタイル、人柄や思い出について教えてください。
クリス「彼についての思い出は多すぎるよ。毎日彼のことを考えるね。彼を友人と呼べたのが光栄だよ」
コーリー「彼は他に置き換えられない貴重な存在で友人だった。世界一上手いドラマーだけでなく、周りにいる皆を明るく照らす光だったよ。みんな、彼の事が好きだった。日が経つにつれ、寂しさは増すね」
――手元に詳細なクレジットがないのですが、ジェリーが亡くなったことで、別のどなたかがサポートドラマーが入るなど、レコーディングに大きな変更はありましたか?
マット「ほとんどのドラム・トラックは2009年7月には録っていたんだ。彼が亡くなる同じ年の11月の前にはね。レコーディング自体は分割して、何回かのフェーズに分けてやることを決めていて、あの夏アルバム分の素材は無かったんだけど、とりあえず、その時にあったアイディアを全部レコーディングして、2010年の1年かけて完成させた。アルバムのドラムは全部ジェリーだよ。「Oaxaca」は彼が亡くなったあとに書かれた曲だけど、ドラムは他のトラックで叩いた彼のプレイをサンプリングしているんだ。「Ruins」の中核も彼がリハーサルで思いついたアイディアを僕が録音してたもので、そのアイディアをベースに完成された曲だよ」
――2007年の前作シングル「Inventions Remixes」ではジ・ラヴィング・ハンズ(元モ・ワックス/DFAのティム・ゴールドワーシーによるユニット),(元チック・チック・チックの)ジャスティン・ヴァン・ダー・ヴォルゲン、本作シングル「Pyramid Of The Moon」ではザ・フィールズをリミキサーに起用していますが、近年はダンス・ミュージックへの傾倒がありますよね?
コーリー「これはもう完全にジェリーがもたらした影響だね。彼のドラム・スタイルはここ数年そのような方向に行っていたし、彼の作曲の仕方にも自然と影響していた。個人的にも最近はジョルジオ・モロダーをよく聴いているしね」
――また本作に参加しているスティーヴ・ムーアのユニット、ゾンビもまた近年オルタナティヴなダンス・ミュージックシーンに発見され、新たなリスナーを獲得したバンドですが、スティーヴとの出会いは?そして、彼の才能やバンドにどのような魅力を感じていますか?
マット「ジェリーの他のバンドがスティーヴのゾンビと昔ツアーしたことがあって、スティーヴも最近NYに移り住んで、ジェリーとも連絡取り合ってたんだ。マセラティも彼らと一緒にツアーして、一気に皆仲良くなったんだ。僕らは皆シンセが大好きなんだけど、中々下手なんだ(笑)。だから、シンセの魔術師であるスティーヴが僕らと一緒に何かやりたいって言ってくれて本当によかったよ!」
――さらに本作ではレーベル・オーナーのジェレミー・ディヴァインと共にミックスを担当しているジャスティン・ヴァン・ダー・ヴォルゲンの功績も大きいと思うのですが、プレイヤーであると同時にダンス・ミュージックのクリエイター・DJでもある彼が本作にもたらしたものとは?
クリス「ジェリーは最初からミックスはジャスティンに頼みたいって言ってたんだ。実際、彼はダンス・ミュージックをよく理解しているから、基本的には最初のミックスは任せたんだ。でも実際同じ部屋で作業することが無かったから、何度もファイルを交換したり、結構大変だったんだけど、最後は実りのある作業が出来たんじゃないかな」
コーリー「ジャスティンはこのアルバムにとって最適なエンジニアだったね。ジェリーは多分最初から色々見えてたんだと思う。ジャスティンにとってもチャレンジだったと思うよ。一回メールで「15個ものギター・トラックで何すりゃいいんだ?!?!俺はダンス・レコード作る野郎だぜ!!」って嘆いていたことを覚えているよ(笑)」
――今回のアルバム『Pyramid Of The Sun』はディスコやハウスのリズムを用いて、前作以上にダンス・ミュージック色が色濃く打ち出された作品だと思いますが、どのような作品を構想、制作していったんですか?
マット「ハウスやディスコも皆聴くし、ジョルジオ・モロダーやセローン、ブラック・デヴィルみたいなイタロものも好きなんだ。だから今回はもっと四つ打ち気味の、フロア仕様のビートやシンセ・パターンを追求していったんだ。ハウスは元々シカゴのゲイ・カルチャーに根差したものだけど、僕らとしては、ゲイな要素を取り除いて、もっと魂のある、男気のあるものにしたかったんだ」
――youtubeのレコーディング映像(注1)を見ると、ヴィンテージなシンセサイザーやテープエコー、様々なエフェクターを駆使していますが、そうした機材から受けたインスピレーションについてはいかがですか?
クリス「スタジオではとにかく良い機材、とりわけヴィンテージなものを使って、ある時代の音を再現することが僕らにとって凄く大切なんだ。プラグインなんかも使えるけど、目の前に実物があるんだったら、それを使った方がはるかにいいだろ?」
コーリー「スペース・エコーやエコープレックス系の機材にひいきしてた部分があると思うんだ、昔から。だから今回は少し実験しようと思って、いろんな機材を使ったね。スティーヴはシンセの魔術師だから、任せられたし、ヴィンテージのシンセの音は今回取り入れたいって最初からあったからね」
――本作はリズムが変化すると同時にメロディの質やソングライティグも大きく変化したように思います。ソングライティングのアプローチやプロセスはどのように変わったと思いますか?
マット「もちろん。曲の半分くらいはライブのジャムから生まれたものだけど、その他は何度も音源を確認しあったり、重ねたり、エディットしながら、緻密に作り上げていったね。曲によってはライヴでやったことがなかったりするから、いま正に練習しているところだよ」
――そして、最高傑作といえる今回のアルバムを踏まえて、今後のマセラティが向かうことになりそうな方向性やイメージがあったら教えてください。
コーリー「一歩一歩進んでいくよ。まずは自分たちでも最高だと思うこのアルバムを引っさげて、皆に届けること。そしてジェリーも誇りに思ってくれるような活動をしたいね」
クリス「まずはたくさんのツアーとマルガリータだね!!」
(注1)質問中のレコーディング中映像はこちらから視聴可能です。
http://www.youtube.com/watch?v=9s0cZbQ7AD0
http://www.youtube.com/watch?v=tAmj0Im9S8w
(インタビュー/構成:小野田雄)