ジャンル: SOULアーティスト情報
THE BLIND BOYS OF ALABAMA
2010.01.05
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ほんのしばらく目を閉じてみよう。そして、1930年代のただ中に思いを馳せよう。大恐慌、ダスト・ボウル、無声映画、根深く終わりなき人種差別。そのまま目を閉じて、アラバマ州タラデガという街を思い描いてみる。その街にあったアラバマ黒人盲・聾者学校。バスケット編みや籐椅子の組み立てが、彼らにとってもっとも有望な職業だと考えられていた学校だ。そう、ここがアメリカ音楽史上もっとも偉大なゴスペルの伝統が生まれたところだった。ここが、ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマが生まれたところだった。
レコード・プレイヤーやラジオ、テレビの発明からインターネットが登場まで、フランクリン・ルーズヴェルトの時代からバラク・オバマの時代まで、世界大戦と冷戦をくぐり抜け、ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマの活動は70年以上続いている。今なおツアーをし、曲を作り、レコーディングをする彼ら。ただ頑なに時代に耐え存続してきただけではない。世界中にゴスペルを伝える最古参グループとして、進化し、成長し、彼らは常に活躍してきた。
ブラインド・ボーイズが歌うのを聞けば、それが唯一無二のものであるとすぐに分かるはずだ。他のどんなサウンドも辿り着けない魂の深い部分に宿る歌。ブラインド・ボーイズと一緒に曲を作って歌い、録音し、ツアーまでする機会を得られたのは、人生最高の栄誉だった。彼らのなかで自分が歌っているのを聞くと、未だに信じられない気持ちになる。ブラインド・ボーイズとの友情、そして一緒に過ごした想い出は、僕にとって彼らの声が生み出すサウンドと同じくらい神聖なものだ。