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新世代テクニカル〜プログレッシヴ・フュージョンバンド“アーチ・エコー”最新作発売&初来日公演決定に伴いスペシャルインタビュー公開!
2019.07.17 RELEASE

新世代テクニカル〜プログレッシヴ・フュージョンバンド“アーチ・エコー”最新作発売&初来日公演決定に伴いスペシャルインタビュー公開!

5人のメンバー全てが超絶スキルを備えたU.S.新世代テクニカル〜プログレッシヴ・フュージョンバンド、アーチ・エコー最新作の国内盤リリース、そして初の来日公演決定にともない、Joey Izzo(Keyboard)とAdam Rafowitz(Guitar)のインタビューを実施しました!バンドのヒストリーから制作秘話、そしてGeorge Bensonに何故レコメンドされることになったのかなどバンドの素顔を本邦初公開!

――はじめまして!インタビューが出来る日を楽しみにしていました。
Joey Izzo(以下、J):僕たちも、楽しみにしていたよ!いま、フロリダ州をツアーしていて車で移動中なんだ。もちろん、僕が運転しているわけではないけどね(笑)。

 

――バンドのプロフィールが載ったBandcampのページには、テネシー州ナッシュヴィル出身と記されています。メンバー全員、同じエリアに住んでいるんですか?
J:いや、Richie Martinez(Drums)、Adam Bentley(Guitar)、Joe Calderone(Bass)の3人は、ナッシュヴィル在住だ。そしてAdam Rafowitz(Guitar)はミネソタ州、僕はニューヨーク州北部に住んでいる。Richie Martinezを除く4人はバークリー音楽大学出身で、卒業後にRichieと知り合ったんだ。

 

――ARCH ECHOが結成されたのはいつですか。
Adam Rafowitz(以下、A):バンドの結成は2016年だったとおもう。それまでは僕もJoeyも各々ソロ作品を作ろうと思っていたんだ。
だから、2017年5月にリリースされたARCH ECHOのデビュー作には、バンド結成前に書いた曲も収められているんだよ。

J:ARCH ECHOはメンバー全員が平等な立ち位置の理想的なチームになっている。Richieが加入してからはとてもスムーズに活動ができていて、ファースト・アルバムの制作にもすぐに取り掛かることができたんだ。

 

――2人はいつ楽器を始めたんですか。
J:僕は6歳でピアノを始めて、本格的にプレイするようになったのは12歳になってからだね。それから、教会やレストランでプレイするうちにプロ・ミュージシャンになることを意識するようになったんだ。

A:Joeyは、13歳のときにコンテストで優勝したんだよね。

J:確かにそうだけど、僕はとても小さな街に住んでいるからコンテスト自体も小規模だった。だから、優勝したことがプロ・ミュージシャンになるきっかけにはならなかったね。音楽を仕事にしたいって思い始めてから本格的なレッスンを受けるようになったんだ。

 

――ニューヨークの中心部からどれくらい離れているんですか。
J:ニューヨーク州レークプラシッドは、マンハッタンから車で6時間くらい離れた街なんだ。どっちかというとカナダのモントリオールの方が近いかな。

 

――家族からのサポートはありましたか。
J:うん、幸運にもメンバーの家族全員がバンド活動を応援してくれている。

A:家族が賛同してくれていることはバンドにとってとても重要なことだ。とても努力していたのに家族の賛同が得られず、ミュージシャンを諦めた友人が大学には沢山いたからね。すごく残念なことだとおもう。僕はプロ・キーボーディストの父親がいるおかげで、常にサポートしてくれたよ。ジャズを教えてくれたのも父親なんだ。

 

――現在は、仕事をしているんでしょうか。
J:うん、メンバー全員が音楽関連の仕事をしているよ。僕は学校で音楽を教えているし、セッション・プレイヤーとして仕事もある。他にもテレビや広告関係の音楽制作、プライベート・レッスンで生計を立てている。Adam Bentleyは、プロデューサー、レコーディング・エンジニアとしてフルタイムで活躍しているんだ。他のメンバーもセッション・ミュージシャンやクリニック、音楽を教える仕事をしているよ。複数の仕事に就いて生活を安定させることは、バンドで好きな音楽をプレイし続けるには必要なことだとおもうんだ。

 

――Adam BentleyはAnup Sastry の『Illuminate』や、Felix Martinの日本デビュー作『Caracas』のミキシングも手掛けていますね。
J:うん。Felix Martinの音はいくつか聴かせてもらったんだけど、とてもいい仕事をしているよね。

 

――バークリー音楽大学では何を専攻していたんでしょうか。
A:僕は、ギタリストとして研鑽を積みたかったからギター・パフォーマンスを専攻していた。

J:僕とAdam Bentleyは、ミュージック・プロダクションとエンジニアリング専攻だった。授業では、録音に関すること、コンピューターを使ったミキシングについての多くを学んだし、より良いサウンドを得るために実験的な録音をする授業もあった。Joeの専攻は映画音楽だったね。

A:Joeは、ARCH ECHOの作品のストリングスのアレンジを手がけてくれているんだ。バークリーで学んだことをフルに活かしているおかげで、僕たちはあまり多くのお金をかけずに作品を作ることができるという強みがある。このバンドにはエンジニアもアレンジャーもいるんだからね!

 

――セカンド・アルバム『You Won’t Believe What Happens Next!』のクレジットには、Joeyがプロデューサーと記されていますね。
J:そうだよ。セカンド・アルバムに関しては、プロデューサーという立ち位置だったとおもう。楽曲のデータをメンバーに送ることや、スタジオの予約、MVを含めた制作スケジュール調整、バンドのグッズの管理までやったからね。

A:様々な調整役をしてくれたのがJoeyなんだ。僕たちはレーベルとの契約もないし、マネージャーもいないからね。

J:バンドでやらなくてはいけないことをみつけて調整していくことが僕の役割なんだ。その反面、ARCH ECHOの楽曲に関してはプロデュースすることは無いんだ。素晴らしい演奏をしてくれる素晴らしいミュージシャンがいるからね。僕が優れたプロデューサーになる必要がないのさ。ARCH ECHOという名の汽車が安全に走り続けられるようにしていくのが僕の仕事だね。

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Joey Izzo

――レーベルとの契約がないとおっしゃっていましたが、自ら契約を望んでいないように感じます。
J:レコーディング費用の援助をしてもらうためにレーベルとの契約を望むバンドが多いけど、僕たちは自らレコーディングを終えてしまったから金銭的な援助を必要としていなかった。ドラムに関してもバンド・メンバーだけで録音できたし、コンピューターでミキシングも済ませることができたからね。

A:場所と時間さえあれば、作品を完成できる力が僕たちにはあるんだよ(笑)。

 

――アルバムのタイトル『You Won’t Believe What Happens Next!』にはどういう意味が込められているんでしょうか。
A:“次に何が起こるかきっと君は信じられないだろう!”というフレーズは、記事のタイトルによく使われているフレーズなんだ。そこでARCH ECHOの音楽もそれに当てはめてみたんだ。

J:今作で僕たちは、さらにジャンルを拡げられたとおもっている。前作を知っている人が聴くと驚くとおもう。ARCH ECHOを理解するには、ただ1曲聴いただけでは足りないんだ。今作の④「Aurora」はハッピーな雰囲気を持つポップソングだけど、次の⑤「Mukduk」ではガラリと雰囲気が変わったりするよね。曲ごとに新たな発見があるんだ。
だから、作品全体を聴いてみれば、タイトルの意味がわかってもらえるんじゃないかな。

A:そう、僕たちの音楽は“次の曲では何か起こるのか分からない”のさ。

 

――アートワークも前作とは全く雰囲気の異なるものになりましたね。
J:「ネズミがチーズを食べながら音楽を聴いている」というイメージはJoeが出したものだ。そのアイデアの元となっているのは、RUSHのアルバム『Signals』(1982年発表)のアートワークだとおもう。犬と消火栓が写っているクールなヴィジュアルなんだ。そのイメージをデザイナーのTim Bonvalletに伝えたら、とてもよい仕上がりにしてくれたよ。

A:宇宙やデジタル的なものが多いプログレ・バンドの作品アートワークのイメージからかけ離れたアートワークだよね。

J:そうだね。あまりシリアスなアートワークを望んでいなかったんだ。あくまで音楽が主役だからね。ARCH ECHOの音楽は強力だから、アートワークは印象を残るものであればよかったんだ。プログレ作品を並べても、今作のアートワークは確実に目を引くとおもうよ。「なんだコレ?」ってね!

 

――もしかしたら、次の作品のアートワークはデスメタル・バンドのようなおどろおどろしいものになるかもしれませんね(笑)。
A:ハハハ、そのアイデアいいね。よし、次のアルバム・タイトルは『The Bundle of Sticks(3本の棒)』でいこう(笑)!これも“次に何か起こるのか分からない”ってことだね。

 

――今作の制作はいつ頃始めたんですか。
J:実は2年前のデビューアルバムがリリースされるときには、すでに⑧「Iris」の作曲に取り掛かっていたんだ。かなり早い時期から作業をしているように捉えられるかもしれないけど、デビュー作がリリースされたときに、次の作品も同じような気持ちで作ることができるのか判断したかったんだ。とても長い作業になるからね。

 

――その結果、今作に繋がったということですね。今作のソングライティングは分担して行っているんでしょうか。
J:リフは誰かのアイデアだけど、曲を仕上げていく過程ではメンバー全員が関わったね。例えば、⑦Bocksuvfunや①「Daybreak」は、僕がリフを書いたけどソロパートはみんなに任せている。ドラムのパートもRichieがイメージを動画にして送ってくれたしね。②「Immediate Results!」、⑥「Tempest」、⑧「Iris」は、ナッシュヴィルのスタジオにメンバー全員で集まって書いた曲だね。

A:②「Immediate Results!」のドラムとベースのグルーヴはJoeyと僕だけでは到底生み出せなかったものだったとおもう。

「Immediate Results!」(Official Video)

J:③「Stella」や⑦「Bocksuvfun」はJoeを加えた3人で制作したんだ、曲によって関わったメンバーは異なるけどアレンジはメンバー全員が関わっている。
あと、今作に関して僕たちはデモ音源を作るという作業を省いて、そのままアルバム音源にできるクオリティの高いレコーディングを行っている。いつも会えるわけじゃないから、二度手間になることを避けたんだ。

A:僕たちは離れたところに住んでいるし、会う時間も限られている。その貴重な時間を尊重したかった。時間の節約こそが、家族との時間を大切にできたりすることに繋がってくるとおもうしね。

J:ソングライティングの部分でも“次の週末に全員で集まるから曲を仕上げなくてはいけない”っていう適度なプレッシャーがとても良い励みになる。一堂に会する時間は限られているから作業に集中できるし、お互いに良い刺激を与えられるんだ。君の質問の答えになっているかな(笑)。

 

――今作もテクニカルなフレーズが続々と飛び出すと共に、とてもメロディックでキャッチーな楽曲に溢れていると感じました。
J:その比率はとても意識しているんだ。

A:それこそがARCH ECHOの使命だとおもっている。ミュージシャンとしてテクニカルなことに挑戦することは大切だし、メロディは人々に聴いてもらうためには欠かせない要素だからね。

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Adam Rafowitz

――③「Stella」や⑤「Mukduk」からはジェントの影響を感じさせるリフがありますね。
J:学生時代に熱心に聴いていたのはPERIPHERYをはじめ、ANIMALS AS LEADERSやMONUMENTSだった。だから、パワフルなギターのリフを求めるときは、ジェントの要素を取り入れることがあるんだ。ARCH ECHOは色々なジャンルからの影響を受けているけど、リズム・ギターのトーンに関してはPERIPHERYをとても参考にしているよ。

A:JoeyはPERIPHERYの「Make Total Destroy」のカヴァーを動画サイトに公開するくらいハマっていたよね。とてもいいピアノ・アレンジだよね。

Periphery「Make Total Destroy」(Piano & Drum Cover)

 

――拝見しましたが、トリプル・ギターをピアノで再現してしまった素晴らしいカヴァーでした!
J:わぁ、それは嬉しいね!PERIPHERYはDREAM THEATERに続く存在になる最高のプログレ・バンドだとおもっているんだ。

A:ANIMALS AS LEADERSも新時代のプログレ・バンドだとおもうね。とてつもなく複雑で難解な展開と並行して素晴らしいハーモニーも同時進行で奏でている。あのバンドに出会っていなかったら、僕はヘヴィな音楽をプレイしていなかったかもしれない。他にもギタリストだとAllan HoldsworthやGuthrie Govanから大きな影響を受けているよ。

 

――Joeyはどんなアーティストから影響を受けていますか。
J:間違いなくRUSHから影響を受けている。DREAM THEATER、PERIPHERYやその周辺のバンドも大好きだね。でも、僕はプロ・ミュージシャンとしてクリスチャン・ロックや映画音楽も演奏している。おそらくブルーグラス、フォーク音楽以外は全て演奏経験があるんじゃないかな(笑)。触れるジャンルを限定しないようにしているんだ、知らない音楽にこそ隠された魅力が秘められていたりするからね。

A:Joe Satrianiをピアノで演奏していたんだよね。

J:そうなんだ。彼のプレイをギターではなくピアノで演奏していたんだ。バークリー音楽大学の試験で演奏したのはSteve Vaiの「For The Love Of God」だったしね。あまり多くの人がピアノ演奏で取り上げるアーティストじゃなかったから敢えて挑戦したんだ。ギターではできないことでもピアノなら出来るっておもったんだ。

 

――ARCH ECHOのウェブサイトには、“Arch Echo” will knock your socks off and make you glad at the same time. Trust me!(アーチ・エコー”はあなたに衝撃と感動を与えるだろう。私を信じなさい!)という、George Bensonからの力強い推薦コメントが掲載されています。どういう経緯で彼と知り合ったんでしょうか。
A:George Bensonは父親の親しい友人なんだ。それで父親が数年前にGeorgeの自宅を訪ねる機会をセッティングしてくれた。彼はとても忙しい人だし、正直何も期待せずに訪ねたんだけどさ、彼はギターを手にしてセッションをしようと誘ってくれたんだよ!それがきっかけで彼とはとても良い関係になれたし、僕たちARCH ECHOの音楽も聴いてくれたんだ。

 

――George Bensonは評価してくれたんですか。
A:なんと、彼は「わお!これは新しいジャズだ!」って興奮していたよ(笑)。それで彼がコメントを書いてくれるって話になったのさ。Georgeは、僕たちが小さい頃から知っている偉大なミュージシャンなのに、信じられないくらい謙虚で素晴らしい人だ。彼に巡り合えたことは本当に幸運だとおもうよ。

 

――次の作品では、“Feat. George Benson”なんてこともありそうですね。期待しています!
A:ハハハ、そうなったら最高だよね。物凄いものができそうだ。

 

――以前、あなたたちはギタリストのOWANEをオススメしていました。他にもオススメのミュージシャンはいますか。
A:OWANEはいいね。他にはオーストラリア人ギタリストのStephen Tarantoは素晴らしいよ。DISPERSEというバンドのメンバーでもあるJakub Zyteckiのプレイもいいね。

 

――『You Won’t Believe What Happens Next!』の日本盤にはボーナストラックとしてイントロのピアノフレーズが美しい「Color Wheel」が収められますね。
J:そうなんだよ。「Color Wheel」はファースト・アルバムに収められている楽曲の中でも特に誇りにおもっているんだ。日本でもようやくCDとして手に入れることができるのはうれしいね。
僕たちは数か月前にTwitterを始めたばかりなんだけど、多くの日本人がプログレッシヴ・ミュージックについてつぶやいていることに驚いているんだ。そして毎日のように日本人のフォロワーが増えているし、バンドについてツイートしてくれているよ。

 

――日本盤もリリースされますし、次に我々が期待するのは初来日公演です!
J:アジアは行ったことがない場所なんだ。もちろん日本でプレイすることは考えてはいるけど、現段階では決まっていないんだ。ヨーロッパでは去年Pliniとツアーしたんだ、UK Tech-Festにも出演できたしね。本国よりヨーロッパの方が今のところ上手くいってるんだよね(笑)。

A:僕にとって日本は特にプレイしたい場所なんだ。日本のファンの評判は耳にしているし、絶対に楽しめるってわかっているよ。

取材・文:澤田修 (ZIP-FM RealRocks)

 

<Arch Echo & Jacky Vincent Double Headline Japan Tour 2019>
11月19日(火)梅田クラブクアトロ
11月20日(水)Shibuya duo MUSIC EXCHANGE
詳細は近日発表!
info:M&I Company 03-6276-1144  http://www.mandicompany.co.jp

 

<アルバム情報>

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タイトル: ユー・ウォント・ビリーヴ・ホワット・ハプンズ・ネクスト! /  You Won’t Believe What Happens Next!
アーティスト:アーチ・エコー /  ARCH ECHO
レーベル:P-VINE
品番:PCD-24858
定価:¥2,400+税
発売日:2019年7月17日(水)
解説:澤田修 (ZIP-FM RealRocks)
日本盤限定ボーナストラック追加収録

《収録曲》
1.Daybreak
2.Immediate Results!
3.Stella
4.Aurora
5.Mukduk
6.Tempest
7.Bocksuvfun
8.Iris
9.Color Wheel (Bonus track) *日本盤限定ボーナストラック

Richie Martinez(Dr) / Joe Calderone(B)/ Joey Izzo(Key) / Adam Bentley(G) / Adam Rafowitz(G)