リリース情報
渚にて6年ぶりの新作『遠泳』は、バンド史上最長時間のリハーサルを仕込んで前作『よすが』から一気にOS 2桁アップグレード。
曲作りの段階からキーボードに吉田正幸(ex-羅針盤)を迎え、アナログ・レコーディングを基本として制作に6ヶ月をかけ編み上げた珠玉の13 曲71 分。
もちろん孤高の天才ギタリスト、頭士奈生樹(ex- 非常階段、螺旋階段、IDIOT O’CLOCK)も全面的に参加。以前にも増してドラム&ベースは低く重くシフト、もはやハイ・サウンド的といってもいいRaw でタフな感触と渚にてサウンド真骨頂の眩いシズル感が絶妙に融け合って、文句無しの傑作に仕上った。
新たな水平線を見据えた渚にて「遠泳」のサウンド・スケープは、普段音楽をヘッドフォンでしか聞かない方にこそ体験していただきたい。かなりの大音量でも音像は崩れず、むしろ解像度が上がり決してラウドには感じられないでしょう。そこには今まで知らなかったような広大な音響空間が、静謐な地底湖のように潜んでいるからです。
『遠泳』から永遠に ~柴山伸二~
2年前から始めたワンマンライブのためのリハーサルにバンド史上かつてない長時間を費やしたのを契機として、新曲のテンポと構成を決める段階から4人で作り込んできたのが、6年ぶりの新作『遠泳』だ。
渚にて結成から約20 年、バンド固有のアンサンブルの感覚(部族感、と置き換えてもいい)とメンバー間のバランスの緊密さという点で、ピンク・フロイド(神秘〜雲の影)とザ・バンド(ビッグ・ピンク〜ステージ・フライト)の境地に今、ようやく辿り着いた、という実感がある。異議は認めない。
前作『よすが』ではゲスト的な参加だった鍵盤の吉田正幸が、今回はヘッド・アレンジの段階から関わるようになった点も今回のポイントだ。
ニッキー・ホプキンス並に卓越したオブリガートのセンスを持つ吉田君の存在は羅針盤解散以降、あべの銀座商店街と共に再開発の波に埋もれるにはあまりに惜しいとずっと思っていた。
そういう意味では長年の念願のプロダクションが、ついに実現できたような気がする。
もちろん今回も孤高のギタリスト頭士奈生樹が参加、世界最高硬度のハーケンを要所要所で打ち込んでくれた。
いっそう重く鮮やかに鈍色の輪郭を描く竹田雅子のスネアドラムを破断強度無制限のカラビナだとすれば、深くアンサンブルの間隙をえぐり込む山田隆司の極太なベースラインは部族の命を確保するザイルだ。
音楽の秘密は、すべて世へぶちまけられるだろう。『遠泳』から永遠に。
世の中はまだ音楽を必要としている。少なくともオレは。まだ。
- DISC 1
- 1. 遠泳
- 2. まだ夜
- 3. 残像
- 4. ことりのゆめ
- 5. そっくりモグラ
- 6. 水草
- 7. フジオ
- 8. 遠雷
- 9. けものみち
- 10. 海にゆく
- 11. あいのほとり
- 12. 暗く青い星
- 13. ひかる ふたつ