ERIC LINDELL エリック・リンデル

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1969年にカリフォルニア州のサン・マテオという街で生まれ育ったリンデルは、若かりし日々は、何度も近くのサン・フランシスコまで足を運び、市の豊かな音楽文化を肌で感じながら、そして自らそれらを吸収しながら過ごしてきた。やがて自分も音楽をやりたいという気持ちになり、最初はベースを学び、その後すぐにギターも手にしている。ザ・インプレッションズやバディー・ガイ、ブルースの巨人達、ジュニア・ウェルズやジミー・リード、アルバート・キングも聞きこみ、その後はスティーヴィー・ワンダーやダニー・ハサウェイといったR&B寄りの音楽も聞き、ソウルの真髄を体に染み込ませ、曲の作り方を見よう見まねで学んでいった。西海岸で様々なバンドとバーや小さなクラブでライブを重ねていったが、あまり長続きするものがなく、1993年には自分自身のバンドを結成。多くのライブと真夜中のジャム・セッションの成果もあり、瞬く間に彼はカリフォルニアでは多くのファンを獲得していった。トム・ウェイツやチャーリー・マッセルホワイトといった往年の名スター達も彼のライブには足を運んだという逸話も残していっている。

その後リンデルは1998年にニューヨークに活動の場を移し、コンスタントにライブを重ねていったが、1999年には彼のキャリアを大きく前進させることとなったニューオーリンズへの移動を決めている。そこでは一気に地元のルーツ・ミュージック・シーンに溶け込み、ウェスト・バンクのグレトナやアルジエアーズといったバーでは多くのベテランのスワンプ・ミュージシャンとも知り合い、ライブ数を増やすのを手助けしてくれた。大人気ファンク・バンドのギャラクティックのドラマー、スタントン・ムーアもこの頃知り合い、よく一緒にジャムるようになる。噂は広まり、気付けばニューオーリンズが生んだ名ミュージシャン達もよくリンデルのステージに飛び入りで参加するようになっていった。中にはイアン・ネヴィルやウォーのドラマーのハロルド・ブラウンなどもいたり、ブランフォード・マルサリスやネヴィル・ブラザーズ、ジョン・スコフィールドからノース・ミシシッピ・オールスターズのクリス・チューなども彼のライブを見に来ている。このように、全米屈指の音楽市はリンデルの才能を大いに認めていったのである。

2006年には今も所属する老舗レーベルのアリゲーターから初の作品、「Change In The Weather」をリリース。高い評価で全国レベルで多くのファンを獲得したが、翌年には早くも新作の「Low On Cash, Rich In Love」を発表し、更に知名度を上げている。全国放送の名テレビ番組に出演するなど、人気フェスへの出演も増え、ブルースからソウル、ルーツ・ロックからファンクのファンまでを虜にし、名実ともに大注目のシンガーソングライターと成長していった。

その絶好調っぷりをキープした中完成させたのが本作の「Gulf Coast Highway」。初の日本国内盤でもある。リンデル曰く、「今作は僕がガルフ・コーストに移り住んでからの10年目の節目の年に出来たアルバムだ。ここでの経験や体験を祝った大切なもの。作曲段階から凄く自然に進行していって、全てがはまっていってくれたね。出来には凄く満足しているよ。」ゲストには盟友のギャラクティックのスタントン・ムーアとロバート・マーキュリオも参加。彼が何故ヴァン・モリソンやデルバート・マクリントンに例えられるのか、それは本作のソウルやスワンプ、ホンキートンクからブルースをも吸収したゆったりとしたグルーヴの数々を聞いてもらえればお分かりのはずだ。彼は間違いなくキャリア最高の傑作を作り上げただけでなく、成功への堂々たるネクスト・ステップを踏んだのである。

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